記念日くん 操作マニュアル

1. はじめに - このアプリでできること

「記念日くん」は、企業の周年記念イベントに伴う特別なIR（記念配当や株主優待など）の発表を予想し、分析するためのツールです。Webから自動で情報を収集・分析し、投資判断のヒントを提供します。

主な機能

• 記念日の自動予想: 企業の設立日や上場日などから、将来の「〇周年」記念日を自動で計算し、リストアップします。
• カスタム記念日の追加: ユーザー自身で「開業記念」「発売記念」といった独自の記念日の種類を追加し、分析対象を自由に拡張できます。
• 発表済みIRの自動照合: 予想した記念日に対し、既に関連発表があったかをWebで自動チェックし、結果を正確に更新します。
• 強力な絞り込み機能: 到来日までの期間、周年の周期、財務指標（時価総額、PBR、配当利回り、優待利回り）、キーワードなどを自由に組み合わせ、膨大な候補の中から効率的に探し出せます。
• あなた専用の分析軸を追加: 各企業に「株主還元」や「優待拡充期待」といったあなた独自のカスタムタグを付けることで、分析結果をインタラクティブに絞り込めます。
• 柔軟なデータ修正・学習機能: プログラムの認識と現実のIRが異なる場合、ユーザーが正しい情報に修正できます。この修正はデータベースに恒久的に保存され、アプリがあなた専用に成長していきます。

2. 2つの強力な自動監視機能

このアプリには、投資機会の見逃しを防ぐための、2つの重要な自動監視機能が搭載されています。

1. 開示直近ハイライト機能

過去の実績から「記念IRが発表される可能性が最も高い日（＝開示記念日）」を予測し、その日が目前に迫っている特に重要な案件を、リストの最上部に自動でハイライト表示します。

ハイライトの条件

以下のすべての条件を満たす案件が、毎日自動的にリストの最上部に集められます。

• 開示状況が「【実績】未発表」であること
• 5年単位の節目記念日であること
• 過去の開示日を元に計算した今年の「開示記念日」が、本日を含めて10日以内に到来すること
• この機能は「記念開示予想」タブでのみ有効です。

ハイライト表示

対象の行は金色の背景と太字で強調され、「開示履歴」列の日付が【2025/10/20】のように特別な括弧で囲まれます。これにより、今まさに注目すべき最重要案件を一目で見分けることができます。

2. 遅延発表の自動追跡機能

記念IRは、必ずしも記念日当日に発表されるとは限りません。この機能は、重要な案件が記念日を過ぎてから発表される「遅延発表」を見逃さないためのものです。

自動追跡の条件

以下のすべての条件を満たす案件は、記念日を過ぎてもリストから消えず、約1年間（364日間）表示され続けます。

• 開示状況が「【実績】未発表」であること
• 5年単位の節目記念日であること

実績のない案件や、節目でない周年（例：31周年）は、これまで通り記念日を過ぎると非表示になるため、リストが不要な情報で溢れることはありません。これにより、「100周年記念IRがまだ出ていない」といった最重要の監視対象を、リスト上で継続的に追跡することが可能になります。

3. 起動方法

このアプリケーションは、PCへのインストール作業は不要です。以下の3つのファイルを必ず同じフォルダ内に配置して、`kinenbikun.exe`を実行してください。

1. アプリケーション本体: kinenbikun.exe
2. 銘柄マスターリスト: kinenbikun_tickers.json
3. ライセンスファイル: kinenbikun_licence.txt

初回起動時に、アプリケーションと同じフォルダに設定ファイルなどを格納する`_data`フォルダが自動的に作成されます。

4. 画面の見方と基本操作

画面は大きく「分析結果タブ」と「各種設定タブ」に分かれています。

分析結果タブ

情報取得と更新

本アプリには、目的の異なる3つの更新機能があります。これらを使い分けることが、安全かつ効率的な分析の鍵となります。

• [最新の開示情報を取得] ボタン (日々の確認):
  日々の情報収集に使うメイン機能です。直近1年程度の最新IRを、Webから素早く取得します。高速で、サーバーへの負荷が比較的低いため、毎日気軽にご利用いただけます。
• [指標・優待一括更新] ボタン (週次・月次のメンテナンス):
  データベース内の全銘柄の株価・時価総額・PBR・配当利回りを毎回更新し、優待情報を必要に応じて（前回取得から30日以上経過で）更新します。また、設定に基づいた価格帯タグも自動で付け直します。定期的に実行することで、常に最新の指標でスクリーニングできるようになります。
• 右クリック → [選択した n 社の深掘り調査] (個別銘柄の徹底分析):
  特定の1社、あるいは複数社に関する、過去のIR実績を徹底的に調査する本アプリ最強の機能です。選択した企業について、専門情報サイトを利用して過去10年以上にわたる周年IRを深掘り調査します。サーバーへの負荷を考慮し、本当に詳しく調べたい銘柄に絞ってご利用ください。

ブックマークツールバー

画面左上にある 🎯 ▲ ▬ ▼ ♥ ... のアイコン群です。リストのB列でどのブックマークを付けるかを切り替えるための重要なツールです。

• アイコンをクリック: クリックするとそのアイコンが選択状態（ボタンが茶色）になります。この状態でリストのB列をクリックすると、そのアイコンのブックマークが付きます。
• [...] ボタン: ブックマークの種類（アイコン、意味、色）を自分で最大6種類まで追加・編集・削除できます。

お気に入りフィルター（プリセット）機能

画面右上の検索ボックスの左にあるボタン群で、よく使うフィルターの組み合わせを保存し、ワンクリックで呼び出すことができます。

• [1]～[5]のボタン: クリックすると、その番号に保存されている設定がUIに反映されます。
• [読込]ボタン: クリックすると、選択されている番号の設定をUIに反映し、絞り込みを実行します。
• ボタンにマウスを合わせる: その番号に保存されている設定内容がポップアップで一覧表示されます。
• [保存]ボタン: 現在の画面のフィルター設定を、選択中の番号に上書き保存します。
• [クリア]ボタン: 選択中の番号に保存されている設定を削除します。

リストの列とステータスの意味

リストの便利な操作

• B列クリック: ブックマークツールバーで選択中のアイコンを、直接ON/OFFできます。
• B列以外をダブルクリック / Enterキー: 最も重要な機能です。その企業の詳細情報を確認し、記念日データを修正するための高機能ポップアップが開きます。
• 右クリック: 選択した行に対してコピーやゴミ箱への移動、ブックマークの種類の変更、そして前述の「深掘り調査」など、便利な一括操作ができます。
• 列名クリック: 列のタイトル部分をクリックすると、その列の内容でデータを並べ替えできます。ただし、「開示直近ハイライト(`【】`付き)」と「本日見つかった項目(`＊`付き)」は、常にリストの最上部に優先して表示されます。
• マウスホバーで詳細表示: リストの行にマウスカーソルを合わせると、IRのタイトル全文など、隠れている詳細情報がポップアップ表示されます。

5. 分析の心臓部：複合タグフィルターの徹底解説

『記念開示予想』『ブックマーク』『通知履歴』の各タブ上部にある『複合タグフィルター』は、2種類のタグを組み合わせて高度な絞り込みを行う、このアプリの心臓部です。

複合タグフィルターの構成と使い方

• [すべて表示] ボタン: 左端にあるこのボタンを押すと、選択されている全てのタグフィルター（価格帯・カスタム両方）が一度に解除され、最初の状態に戻ります。

価格帯から選ぶ (グループ内はOR検索)

• 目的: 分析の起点となる銘柄群を、価格帯を基準に広く選び出すためのフィルターです。
• 使い方: ボタンをクリックすると、その価格帯に属する銘柄が検索対象に追加されます。複数選択が可能です。
• 検索ルール (OR検索): ここで複数のボタンを選択すると、そのいずれかの条件に合致する全ての銘柄が表示されます。

タグで絞り込む (グループ内はOR検索)

• 目的: あなたが付けた独自のタグを使って、さらに絞り込み条件を追加するためのフィルターです。
• 使い方: ボタンをクリックすると、絞り込み条件としてそのタグが追加されます。複数選択が可能です。
• 検索ルール (OR検索): こちらも同様に、複数のボタンを選択すると、そのいずれかの条件に合致する全ての銘柄が表示されます。
• 並び替えと削除: このエリアのタグボタンは、ドラッグ＆ドロップで自由に並び替えたり、右クリックで全データから一括削除したりできます。

6. 最重要機能：詳細情報・修正ポップアップの徹底解説

リストの行をダブルクリックすると開くこの画面は、単なる詳細表示だけでなく、アプリのデータを修正・学習させるための重要な機能を持っています。

ポップアップ画面の構成と機能

公式情報エリアの見方と意味

ポップアップ上部には、分析の基準となる企業の公式情報が表示されます。ここには、情報の状態を示す特別な記号が付くことがあります。

• `創業＊` や `創立＊` (アスタリスク)
  この記号は、その記念日の正式な日付が未登録のため、代替として『設立日』を仮の基準日として計算していることを示します。このラベルにマウスカーソルを合わせると『設立日情報で代用中』というヒントが表示されます。
• `上場(+11)` や `創立(-1)` (括弧と数字)
  この記号は、過去のIR実績とデータベースの情報にズレがあったため、プログラムが自動で計算年を補正していることを示します。例えば `(-1)` は、計算上1年過去に遡って補正していることを意味します。
• `設立: 1953/11/30(+1)` (日付と括弧数字)
  日付が表示されている場合でも、その後ろに調整値が表示されることがあります。これは、登録されている日付を基準としつつ、IR実績に合わせて年計算を補正している状態を示します。

記念日の起点日とタイミングの修正

• 即時更新: このポップアップでメモを編集したり、起点日を修正して「保存する」ボタンを押すと、メイン画面のリストは並び順を一切変えずに、その場で即座に更新されます。アプリの再起動やタブの切り替えは不要です。
• 起点年の逆算ツール（計算...ボタン）: プログラムが自動計算した起点年が、実際の情報と異なる場合に便利な機能です。「起点日」の横にある「計算...」ボタンを押すと逆算ウィンドウが開きます。例えばIRに『平成30年に創立80周年』と書かれていた場合、[元号: 平成] [年: 30] [周年数: 80]と入力して「計算」を押すだけで、正しい起点年「1938年」が自動で入力されます。
• 起点日のリセット機能: 手動で変更した日付などを、「リセット」ボタン一つでプログラムの自動計算による元の状態に戻せます。

その他の便利な機能

• 銘柄ジャンプ機能: ポップアップの一番上にある入力ボックスに証券コードを入力し、「移動」ボタンかEnterキーを押すことで、ポップアップを開いたまま直接他の銘柄の情報に切り替えることができます。
• 銘柄ナビゲーション: ポップアップ下部の「▲ 前の銘柄」「▼ 次の銘柄」ボタンで、リストの順番通りに表示を切り替えながら、連続でデータを確認・修正できます。
• 記念日の種類を管理: 「種類」の選択肢から「🔧種類の管理」を選ぶことで、分析対象とする記念日の種類（例：「開業」「発売」など）を自由に追加・編集・削除できます。
• カスタムタグ・メモ: この記念日に対するあなた独自のタグ付けやメモが可能です。ここで付けたタグが、メイン画面の『複合タグフィルター』と完全に連動します。

7. 各種設定タブ - 自分好みにカスタマイズ

情報収集のルールや表示をカスタマイズします。変更後は必ず右下の「設定を保存する」ボタンを押してください。

データベース管理

• 銘柄リストの最新化: アプリに同梱された最新の全上場企業リストを元に、手元のデータベースを完全に同期させる、最も重要な更新処理です。この処理は以下の3つを自動で行います：
  1. 追加: 新規上場した企業をDBに追加し、プロフィール（設立日など）を取得します。
  2. 削除: 上場廃止になった古い企業をDBから削除します。
  3. 更新: 何らかの理由でプロフィールが未取得だった企業の情報を再取得します。
  全件の処理には数時間かかる場合がありますが、いつでも「停止」ボタンで中断でき、次回は続きから再開が可能です。
• 不要なキャッシュを掃除: あなたが設定した「除外キーワード」を、過去に取得済みの記念IRキャッシュに再適用します。これにより、キーワードの変更後に不要となったキャッシュを一括で削除（掃除）できます。
• 無視リスト管理: 分析対象から外したい企業を恒久的に非表示にします。この画面から、無視指定の解除も可能です。

分析精度を高める：除外キーワード

• 手動登録ワード: あなた自身が追加・編集するキーワードです。ここに登録した単語は、すべての企業に適用されます。（例：「キャンペーン」）
• 複合キーワード: 手動登録ワードでは、 子会社+設立 のように + で繋ぐと、「子会社」と「設立」の両方が含まれる場合にのみ除外するAND条件も設定できます。
• 自動登録ワード: 分析結果画面でIRを「無関係な開示として登録」すると、「企業コード：IRタイトル」という形式で、その企業専用の除外ルールがここに自動で追加されます。他の企業には一切影響しない、安全な方法です。
  [チェックした項目を削除]ボタン: 不要になった自動登録ワードは、リスト左のチェックボックスにチェックを入れ、このボタンを押すことで安全に削除できます。

検索と表示のカスタマイズ

• Web検索期間: 分析結果タブの「最新の開示情報を取得」ボタンを押した際、どれくらい過去までさかのぼって記念IRを探すかを設定します。
• 検索オプション:
  
  • 設立, 上場...も検索対象にする: チェックを入れると、これらのキーワードもWeb検索の対象に加えます。
  • ユーザー定義の種類も検索対象にする: チェックを入れると、「種類の管理」であなた自身が追加した記念日の種類（例：「開業記念」など）も、Web検索のキーワードに含めて自動で情報を収集するようになります。
• カスタム期間・アラート設定: メイン画面の「期間」フィルターに表示される選択肢を自由に設定できます。「アラート」にチェックを入れると、その期間内に到来する記念日が発見された際に通知音が鳴ります。
• 外部リンク設定: 詳細情報ポップアップから開けるWebサイトのリンクを自由に編集できます。URL内に {code} を含めると、その部分が企業の証券コードに自動で置き換えられます。

複合タグフィルターとの連携

• 価格帯タグ自動付与設定: 分析結果画面の『価格帯から選ぶ』に表示されるタグと、その価格範囲を設定します。「指標・優待一括更新」機能は、ここで有効にしたルールに基づいて全銘柄にタグを自動で付け外しします。
• カスタムタグ: あなたが分析結果画面の『詳細情報・修正ポップアップ』で個別に追加する、独自のタグ（例: 「評価A」）です。これらは『タグで絞り込む』フィルターに表示され、より詳細な分析を可能にします。

8. Q&A - よくある質問と回答

9. データファイルの管理

記念日くんは、収集したデータや設定内容を`_data`フォルダに保存します。銘柄リストとライセンスはアプリケーション本体と同じ場所に配置します。